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東京地方裁判所 昭和38年(ワ)6386号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕商法第二八条は営業の譲受人が譲渡人の商号を続用しない場合においても、譲渡人の営業によつて生じた債務を引受ける旨の広告をした場合においては、債権者はその譲受人に対して弁済を請求することができると規定している。

営業譲渡は営業の譲渡人と譲受人間の契約でなされるものであるから、譲渡人は譲受人に対し契約の内容に従つて各種の財産を移転する義務を負うが、その義務の履行については各別に移転行為をなし且つ第三者に対抗するに必要な要件をみたさなければならない。すなわち債務については契約の定めるところに従つて債務の引受、譲渡人のためにする弁済の引受、債務者の交替による更改等の方法を採らなければならないのである。ただし、譲受人が譲渡人の商号をそのまま続用する場合においては、譲渡人の営業によつて生じた債務については譲受人も弁済の責に任ずるものと法定されている(商法第二六条)これに反して譲受人が譲渡人の商号を続用しない場合には譲受人は当然には譲渡人の営業上によつて生じた債務について弁済の責を負わないが、譲受人が特に右の債務を引受ける旨を一般に広告した場合においては、禁反言の法理により債権者はその譲受人に対しても弁済を請求することができるとしたのが前掲商法第二八条の法意である。

しかしながら、会社の合併の場合においては、合併契約の効果として合併後存続する会社又は合併により設立した会社は合併によつて消滅した会社の権利義務一切を包括的に承継するものであり、消滅会社の営業上の債務についても当然に弁済の責を負うのであるから、会社の合併の場合においては商法第二八条を類推適用する余地は全然ないものといわなければならない。(杉山孝)

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